「ひっかかりながらも」  07.05.13
                 使徒言行録27:39〜28:10

 パウロがローマへ行くことを口にして(9:21)から何年も経った後、
ようやくローマに到着します(28:11〜)。この旅は、神さまの助け
なしにはとても目的地までたどり着けない旅でした。実に様々な
妨げがありました。ローマの囚人の身とされていることもそうです。
  そのせいで、何年も足止めされることになりました。
  しかし、パウロをローマへ導こうとされる神さまは、驚くような
働きかけをし続けてくださいました。この旅の様子を通して、
順調な時も、困難な時も、神さまは道を開いてくださることを
知らされます。
 神さまが、信仰の成長のために試練を与えられることがあります。
 「わが子よ、主の鍛錬を軽んじてはいけない。…わたしたちの
益となるように、ご自分の神聖にあずからせる目的でわたしたちを
鍛えられるのです。」(ヘブライ12:3〜10)しかし、喜ばしくない状況が
すべて神さまによる試練かというと、そうではありません。自分の
罪や弱さ、他の人からの悪意などによる、困難や悲しみがあります。
 それは神さまが、与えたものではありません。パウロのローマへの
旅には、神さまが与えたのではない妨げや困難が、繰り返しありました。
 そして、この旅は、妨げの数々よりも神さまの導きの方が確かで
あることを、はっきりと示してくれます。今日の場面でも、船の難破、
人間関係の不信、毒蛇にかまれる事故など、繰り返しトラブルが
起こります。しかし、それらを繰り返し乗り越えさせてくださる神さまの
働きかけが描かれています。
 聖書は、この場面においても、私たちの人生を映し出しています。
 私たちもトラブルにあうことの多い生涯を進んでいきます。
 けれども、私たちは、様々な問題よりも力強くわたしたちを包み込み、
確かな導きを与えてくださる神さまの民とされています。
 「あなたの生涯も、このパウロのローマへの旅のように、
私に導かれて進んでいくのだよ」との神さまの語りかけが、
この場面には響いています。
 私たちは、この言葉に包まれながら、目指す地に向かって
進んでいるのです。